中高生野球選手の体重増量において、
お菓子やカップ麺、炭酸飲料に頼るアプローチは
選手達のパフォーマンスを上げるのか否か。
昔はよく体重を増やす為に
食材の栄養素を気にせず
とにかく高カロリーな物を摂取する
というアプローチが行われていました。
指導者によってはコーラを飲めと指導する人も。
(腹に溜まらなくする為に炭酸を抜いている場合も)
私も20歳くらいの頃は
「摂取カロリーが同じであればどの食材から摂っても同じ」
とアホみたいな事をお客様にお伝えしていた頃があります。。。
今思うとあり得ない発想です。
当時のクライアントの皆様、
そして私の研修を受けて下さっていた
元同僚の皆様すいません(^^;
そもそも、ひと昔前の
野球部は体重がある事が重要と言われてきた時代から徐脂肪体重と徐脂肪指数こそが最重要という時代です。
「と言う事は脂肪で増えても無意味じゃね?」
⇩
「って事は摂取カロリーの質が重要じゃん」
⇩
「だいたい筋肉量増やすのも疲労を管理するのも食べ物じゃん」
⇩
「コーラで体重増やすとかそもそも考え方が短絡的じゃないか?」
と3、4年前から思うようになりました。
身体・パフォーマンス・メンタル・医学的な
すべての観点から「コーラやカップ麺等で体重を増やす事は選手の為なのか」を紐解いていきます。
■そもそも論として

野球部は体重を増やせ
という理論に大きな変化が生まれています。
もちろん、体重があった方が打球が飛ぶのは間違いないです。
しかし、その体重を扱う事が出来るのか、
ケガをしない体重なのか、
飛距離だけに拘った体重になっていないか。
ここを見る必要があります。
結論、体重より徐脂肪指数を管理せよ!
ここでは
『体重だけを見るのは古い』
という事だけ理解いただければOKです!
詳しくは下記記事をご参照下さい。
https://note.com/embed/notes/na3e0d449adfb
■当たり前の話。。。
野球の競技力
(球速やスイングスピードの向上)
に直結するのは、出力を生み出す
「機能的な骨格筋」の増加です。
しかし、単純糖質(砂糖など)の大量摂取は、
インスリンの急激な分泌と肝臓での特異な代謝メカニズムにより、
筋肉ではなく体脂肪の蓄積を強く促進します。
結果として、ただ重いだけの身体になり、
ベースランニングや守備の第一歩のキレ
(アジリティ)が失われます。。。
さらに、急激な血糖値の乱高下は
糖質疲労を引き起こします 。
インスリンが過剰分泌されて血糖値が急降下する際、強烈な倦怠感や眠気に襲われます。
また、気分の落ち込みやイライラといった
メンタル面の悪影響も引き起こし、
野球以前に日々の生活にも悪影響でしょう。
メジャーリーガーのダルビッシュ有選手も
本人が運営する音声メディアで
「ご飯何杯とかのノルマや食トレとか、
そうゆうのはホントに止めた方が良い」
とおっしゃっています。
■エンプティカロリー(無駄カロリー)
お菓子やジュース、カップ麺は、
カロリーは高いものの、
筋肉や骨の材料となる
タンパク質、ビタミン、ミネラルを
ほとんど含まないエンプティ・カロリーです。
これらで胃を満たすと、本来食べるべき
肉・魚・野菜などの食事量が減り、
栄養バランスが崩壊します。
激しいトレーニングを行っているにも関わらず、
ビタミンやタンパク質などの
必要な栄養素が不足すると、
身体はエネルギーを補うために
自らの筋肉を分解してしまう糖新生という現象を起こします 。
(カタボリック)
増量のために食べているのに
筋肉を削ってしまうという本末転倒な事態です。
加えて、コーラなどに含まれる酸味料(リン酸)は、血中バランスを保つために骨からカルシウムを溶かし出す作用があると言われています。
「体重を増やす」
「身体づくりをする」
という目的であればやはり
質の良い栄養を摂取したいですね。
■砂糖入り飲料摂取前後のパフォーマンス比較
砂糖入り飲料の摂取前後における
身体的パフォーマンスを比較した研究です。
砂糖入り飲料の摂取後の各数値反応⇩
●最大酸素摂取量(VO2max)
48.15 ± 10.42 ⇨ 40.98 ± 11.20
●総運動時間
15.02 ± 1.57 分 ⇨ 14.00 ± 2.18 分
●物理的な仕事量
15.83 ± 4.53 ⇨ 13.68 ± 5.67
各数値有意に低下したことが
数値として明確に記録されています。
Checking your browser – reCAPTCHApmc.ncbi.nlm.nih.gov
■炭酸抜きコーラにメリットはあるのか

先に結論から!
『カフェインに効果がある可能性が高く、
コーラそのものにメリットがあるかは不明確』
といった所です。
下記の研究では、
競技サイクリストを対象に、
カフェイン入りコーラ
(糖質の有無にかかわらず)を摂取した結果、
高強度の反復インターバルトレーニング中の
平均パワーおよび最小パワーが向上し、
主観的な疲労感も軽減されたことを報告しています。
詳しく解説⇩
対象は競技レベルのサイクリスト13名で、
参加者は、
①カフェインなしのダイエットコーラ
②カフェインありのダイエットコーラ
③カフェイン+糖質入りコーラ
の3条件を別日に摂取し、
45分間の一定強度走行の後に、
1分間の全力インターバルを4本行っています。
結果として、
カフェイン入りコーラ
と
カフェイン+糖質入りコーラは、
どちらもプラセボ条件より
主観的きつさ(RPE)を下げ、
その後の高強度インターバルでの
平均パワー、最低パワー、総仕事量を改善しました。
一方で、ピークパワーには有意差がありませんでした。
つまり、
「一瞬の最大出力」を上げたというより、
繰り返しの高強度努力を
少し高い水準で維持しやすくなったと解釈できます。
※「高強度努力を少し高い水準で」
と聞くと、ピッチャー陣には効果があるのかな?
とも考えられなくもないですね。
ただ、、、
この研究の面白い点は、
カフェインのみの条件と、
カフェイン+糖質条件の成績がほぼ同程度だったことです。
そうなると、「カフェインの有無」が重要なのか。。。
この結果から、
糖質を加えた上乗せ効果は明確ではなく、
主な寄与はカフェインだった可能性が高い
と推測できます。
※これは論文のデータからの解釈であり、
糖質の価値そのものを否定する意味ではありません。
条件や競技時間が変われば、
糖質の重要性は変わりえます。
実務的には、
高強度の反復が必要な場面では、
炭酸を抜いた市販コーラが
補給手段の1つになりうることを示した研究です。
ただし、対象は競技者13名と少人数で、
しかも競技サイクリストに限定されています。
また、検証されたのは急性の効果であり、
長期的な適応や他競技への一般化は慎重に考える必要があります。
Flattened cola improves high-intensity interval performance in competitive cyclists – PubMedCola containing caffeine with or without carbohydrates favorapubmed.ncbi.nlm.nih.gov
※カフェインの効果は下記データでも
Checking your browser – reCAPTCHApmc.ncbi.nlm.nih.gov
■コーラは骨に害があるの?
昔からよく言う
「コーラを飲むと歯が溶ける」
という都市伝説。
まあ歯が溶けるかどうかは実際かなり怪しい所ですが、
骨そのものへの影響はどうなのか。
いくつかのデータを見てみましょう。
◎女子選手は絶対ダメ
思春期の男女を対象とした調査で、
コーラを摂取している女子生徒は、
摂取していない生徒と比較して
骨折を経験するリスクが3.59倍に跳ね上がることが強く示唆されたデータです。
※女子学生アスリートは本当に注意!
だけど、コーラを飲んでいる女子、女性を見た事が無い(笑)
だいたいコーラ飲むのは男(笑)
■カップ麺等は〇〇の分泌量を下げる
中高生(11〜15歳)を対象とした
運動と成長ホルモン分泌阻害のデータです。
11歳から15歳の子供を対象に、
運動前に高脂質・高カロリーな食事(ジャンクフードを想定した成分)を摂ることで、
運動によって本来分泌されるはずの成長ホルモンの
ピーク値が有意に(約43%)低下することを示しました。
筋肉量増やす為に成長ホルモンの分泌は必要不可欠です。
体重を(筋肉)増やす為に摂取している高カロリー食が大事な成長ホルモンの分泌を阻害する事になっているとは。。。
本末転倒も良い所だ。

中高生にとって最も取り返しのつかないダメージが、
成長ホルモンへの悪影響です。
身長を伸ばし、骨格を形成し、
筋肉を大きくするためには
成長ホルモンの分泌が絶対条件ですが、
大量の糖分摂取はこれを化学的にストップさせます。
そもそも、
急激な血糖値の上昇は、
脳の視床下部からソマトスタチン
というホルモンを放出させます。
これは成長ホルモンの分泌に強力なブレーキをかける役割を持ちます。
また、血糖値を下げるために
膵臓から分泌されるインスリン自体が、
成長ホルモンの合成と放出を
細胞レベルで直接的に阻害することが
医学的に証明されていると言われています。
成長ホルモンは深い睡眠中に
最も多く分泌されますが、
寝る前にお菓子やカップ麺を食べてしまうと、
睡眠中の血糖値とインスリン濃度が高い状態が続きます。
その結果、睡眠の質が落ちるだけでなく、
成長期という身体を大きくするチャンスを
自らの食生活で潰してしまうことになります。
Effect of a High-Fat Meal on the Growth Hormone Response to Exercise in Children
高脂肪食が子供の運動に対する成長ホルモン反応に及ぼす影響
Effect of a high-fat meal on the growth hormone response to exercise in children – PubMedExercise-induced growth hormone (GH) secretion may significanpubmed.ncbi.nlm.nih.gov
■高校球児と保護者の食トレ認識
日本の高校野球部で実際に行われている
詰め込み型の食事プログラムに対する
部員のリアルな認識調査と、
非科学的な完食指導が引き起こす
深刻なメンタルヘルス不調(会食恐怖症)に関する報告です。
◎高校野球部の食事増量プログラムに関する調査
この研究をざっくり結論だけ要約すると、
●部員の約82%が食事量が多すぎて苦痛だと回答
●部員の63%が体重増加
●研究期間終了後に食事量が増えたのは62%
※いずれも自己申告
この研究結果とこれまでの研究をまとめると、
適切に設定された食トレは苦痛を感じるが一定の効果がある!
しかし、摂取する物の質が悪いとパフォーマンスが低下する。
という事になります。
個人的にはもうこれが結論な気がしますが(笑)
つまり、良いものをたくさん食べよう。
というシンプルな結論。
Checking your browser – reCAPTCHApmc.ncbi.nlm.nih.gov
◎会食恐怖症の発症原因に関する調査報告
相談者の62.5%が学校の部活や家庭での完食指導をきっかけと回答
「白米を毎日7合食べろ!」 部活の”ドカ飯”強制は虐待です 精神疾患や消化器酷使の危険スポーツ指導の一環として、白米を無理に食べさせる「食トレ」が問題になっている。7月には兵庫県尼崎市の市立高野sukusuku.tokyo-np.co.jp
■道徳的増量(リアルな現場)

正しい増量戦略は、
ジャンクフードへの逃避ではなく、
栄養の「質」と「タイミング」を管理する
トータル栄養設計です!
エネルギー源は、血糖値を緩やかに上げ、
糖質疲労を防ぐ複合炭水化物
(米、うどん、パスタ、オートミール、芋類など)
を中心に!
とは言っても、
●食が細い
●時間がかかる(寮では辛い)
●食べる事に興味が無い
●好き嫌いが多い
などのリアルな悩みがあるかと思います。
一度に食べられない選手は、
無理に詰め込んで消化不良や会食恐怖症を起こすのではなく、
1日5〜6回に分けて小まめに栄養を摂取する「補食」が有効です。
中学生は難しいかもですが、高校生なら可能なはずです。
各授業の合間に捕食を入れるだけ!
コーラ1本ぶち込むくらいなら
コンビニのスティックタイプの小さいチキンと
小さいおにぎり食べた方がよっぽどマシです!
バナナ、鮭フレーク、ゆで卵、
100%果汁ジュース等を活用できます。
また鉄板かつ実践済みの選手も多いですが、
プロテインパウダーの活用もお勧めです。
胃腸への負担を分散させながら
総カロリーと栄養素を稼ぎます。
特に、トレーニング終了後、
寝る前、毎朝に
糖質とタンパク質をセットで摂取し、
筋肉の合成とリカバリーを最大化させることが、
最も効率的で健康的な身体作りへの近道です。
◎保護者の皆様へ
そうは言っても
毎食毎食栄養のあるご飯を用意するのは
さすがに無理!
というご意見ももちろん分かります。
保護者の皆様にはこの3つのポイント
だけ抑えていただきたいです!
①タンパク質の総量
最も重要になってくるのがタンパク質の総量です!
摂取目安量は
体重✖1.6g
または
体重✖2g
です!
例えば、体重が70㎏であれば
70㎏×1.6=112g
70㎏×2=140gです。
卵1個当たり6~7gのたんぱく質が含まれるので
この場合、卵だけで計算すると、
16個/日になります。
各食材のたんぱく質の量は下記画像をご参照下さい!

②朝のたんぱく質は必須
朝食に何かしらのたんぱく質を入れて下さい!
時間が無いからパンだけ等
朝のたんぱく質は抜けがちです。
ゆで卵でも何でも良いです。
朝のたんぱく質は必須で!
③炭水化物と一緒に
①と②が出来たら
たんぱく質と炭水化物は
セットで食べるようにして下さい。
タンパク質の吸収率が上がります。
炭水化物はご飯、パスタ、パン等。
◎コーラやジャンクフードを活用する場合は
基本的に、時期や目的に関わらず
コーラやジャンクフードで増量する事は
当然おすすめしません。
ただ、どうしても食が細く、
一般的な食事では栄養を摂取出来ない選手、
かつオフシーズンであればジャンクフードや
炭酸飲料を用い、糖質の摂取を試みる事はやむを得ないでしょう。
ただ!
裏を返せば、一般的な食事が摂れる選手、
またシーズン中にコーラやジャンクフードを
積極的に取り入れるのは論外ですのでお間違いなく!
■甲子園出場校の過去20年間体組成推移
過去20年間の甲子園出場校の
登録選手データを年代別に分析すると、
身長の伸びが統計的に頭打ちに達している一方で、
体重および筋肉量を中心とした
質量の増加が極めて顕著です!
以下の表は、
各年代の甲子園出場選手の数値推移です。

明らかに
徐脂肪体重が増えて、
脂肪率が低下しています。
つまり、
今の時代甲子園に出るチームは
脂肪も一緒に蓄えたチームよりも
締まりのある高徐脂肪体重軍団が甲子園に出ています。
肌感覚的にも
近年甲子園に出るチームの選手達は
筋肉があり引き締まった体格の選手が多い良いにも見えます。
昔のような見るからに
「ファーストしか出来ないパワーヒッター」
みたいな選手が減りましたよね。
いつまでも
「何でも良いから体重を増やそう」
なんてフィジカル管理をしていると
時代に置いて行かれるかもしれません。
■これまでの論文を元に整理すると
体重を増やす事を目的とした場合
コーラやカップ麺等を摂取する事にメリットは無い!
そもそも、
中高生野球部(中高生でなくても)は
目先の数字にとらわれた体重なんか気にするより、
徐脂肪体重と徐脂肪指数に目を向けるべきである!
つまり、
コーラなんかで体重を増やすという発想そのものが理解不能である!
各データをまとめると、
●高ジャンクフード摂取は成長ホルモンの分泌量を下げる。
●女性選手に関しては骨折リスクが3.6倍増える。
●一部、主観的キツさを軽減させ、パワー向上が見込めるというデータもあるがそれはカフェインによる効果の可能性が高い。
※カフェインを別のサプリメントで摂ったら良い
●甲子園出場校に高脂肪率選手が少ない
●どうしても一般的な食べ物で栄養が摂れない選手かつオフシーズンはやむを得ない
ジャンクフードやコーラ等で
今日、明日の目先の体重を増やすよりも
質の高いタンパク質、糖質を
適切なタイミングで適切に摂取し
1か月後の徐脂肪体重を向上させましょう!
私たち大人が学生達の身体を壊す訳にはいきません。
※追記
●体重を増やす必要が無い
●徐脂肪指数が全て
と言っている訳ではありません。
筋肉量が増えれば徐脂肪体重が増えますし、
当然あった方が良いです。
大切なのはその筋肉量(体重)を
どうやって増やすかの話です。
■学生を指導するトレーナーの皆様
ここからは科学的根拠の無い
あくまでも私個人の意見です。
ただ追い込むだけのトレーニング指導
ただ体重にだけフォーカスした栄養指導等は、
もちろんそのチームや、個人の状態
季節、目的に合わせて行う事もあるでしょう。
しかし忘れてはいけないのは
あくまで我々トレーナーは
専門性を持った指導が必要なはずです。
ただ追い込む、ただ食べさせる
のは監督やコーチなどに任せ、
逆に我々は監督やコーチが出来ない
専門的なトレーニング指導や栄養指導をするのが仕事だと思っています。
何をどのくらい、
いつ、どのように、なぜそれを行うのか、
なぜそれを食べるのか。
この当たりを根拠と専門性を持った指導をしていきましょう。
ただ追い込む為に長い距離を走らせる。
ただ追い込む為に何セットもこなす。
ただ体重を求め質を無視して食べさせる。
これらを我々がやってしまったら
トレーナーがいる意味が無い。
以上!
最後までお読みいただきありがとうございます!
※中高生向けオンラインレッスン
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