皆さんこんにちわ!
フィットネス・スポーツトレーナーの菅谷です!
さて本日のテーマは
『週末の寝だめ(寝溜め)に効果はあるのか?』
です。
これまでずっと、
「寝溜めには効果が無い。」
と言われてきましたが、
それは本当なのか。
5つの科学的データを元に解説します。
■エビデンス①
まず一つ目のデータから。
Dynamics of recovery sleep from chronic sleep restriction – PMC Sleep loss is common in our 24/7 society with many people rou pmc.ncbi.nlm.nih.gov
慢性的な睡眠不足からの回復睡眠のダイナミクス
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10108639/?utm_source=chatgpt.com
◎概要
日常的に十分な睡眠が取れないの状態から、
どのように「回復睡眠(recovery sleep)」をとると
疲労/認知機能/眠気などが改善するか、
そのダイナミクス(過程)を整理したレビュー論文です。
また、寝だめやバンキング睡眠
(予備的に睡眠時間を長めに取っておく)
などの戦略が、
睡眠負債(sleep debt)からどのくらい回復させられるか、
どのくらいの回復期間が必要か、
などを明らかにしようとしています。
◎結果
・寝溜めは1日だけでは不十分
・バイキング睡眠は効果がある
※寝不足を補う週末の寝溜めでは無く、
睡眠時間の確保が難しいタイミングの前に
事前に多めに睡眠を確保する
・眠気や気分は比較的早く改善する。
一方、集中力・反応時間などの認知機能は
回復が遅く、完全に元に戻るまで時間がかかることが多い
→※寝溜めをする事で
眠気が覚め、一時的にスッキリ感があっても
集中力などが回復・向上している訳では無い
という事でしょう。。。
■エビデンス②
Catching up on sleep on weekends may lower heart disease risk by up to 20% Your access to the latest cardiovascular news, science, tools www.escardio.org
週末に睡眠不足を解消すると、心臓病のリスクが最大20%低下する可能性がある
イギリス のデータを使った研究です。
約90,900人を対象に、
「平日の睡眠時間不足 → 週末で補う睡眠」と
心疾患リスクとの関連
※夜の睡眠時間が7時間未満と自己申告した者を対象。
全体の約21.8%がこの基準に当てはまる。
◎結果
・補足睡眠が最も多い群は、補足睡眠が最も少ない群と比べて、
心疾患の発症リスクが 約19%低い。
欧州心臓病学会
・平日睡眠不足の人たちを対象にすると、
その差は約 20%の低下。
欧州心臓病学会
・性別による差異は確認されなかった。男性も女性も同様の傾向。
■エビデンス③
Device-measured weekend catch-up sleep, mortality, and cardiovascular disease incidence in adults – PubMed Weekend catch-up sleep was not associated with mortality or C pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
成人における週末の睡眠不足、死亡率、心血管疾患発症率をデバイスで測定
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38895883
◎概要
平日より週末に多く寝ることが、
死亡率および心血管疾患の発症率と関係があるかどうかを、
加速度計(ウェアラブル装置)で測定した
客観的な睡眠データを使って調べた研究です。
※研究の多くは自己申告によるものが多く、
それだと誤差が入る可能性があるため、
本研究ではデバイス測定を用いて精度を高めた形。
対象者:約70,000人
期間:約8年間
◎結果
・死亡率との関連
週末で平日より≥2時間多く寝る群でも、
死亡率の低下とは統計的に有意な関連は見られなかった。
ハザード比(HR:危険率)は
1.17(95%信頼区間 0.97–1.41)で、
「減少」どころかむしろ若干上がる可能性も除外できない範囲
・心血管疾患発症との関連
週末の寝だめ群(特に≥2時間差)の人で、
心疾患発症リスクが有意に下がるという結果は出なかった。
ハザード比 1.05(95% CI 0.94–1.18)で、
有意な保護効果は確認されなかった。
- 睡眠が非常に少ない人を対象にしたサブ解析(平日の睡眠時間が6時間未満など)でも、同様のパターン(=週末の寝だめと mortality/CVD 発症との明確な関連なし)という結果。
■エビデンス④
Association between weekend catch-up sleep and depression in US adults – BMC Public Health Background Depression is one of the most prevalent mental dis bmcpublichealth.biomedcentral.com
週末の睡眠不足と米国成人のうつ病との関連性
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-025-21551-8?utm_source=chatgpt.com
◎概要
アメリカ成人(20歳以上)で、
週末の寝だめと抑うつ傾向の関係を、
代表的調査データ(NHANES 2017-2020年)を使って調べる
対象者:7,795人
◎結果
・週末寝だめ(1〜2時間延長)は、
抑うつリスクを有意に低下(OR約0.74)。
・0〜1時間や2時間以上の寝だめでは有意な効果なし。
・特に中年層・高血圧・男性などで効果がやや顕著。
・適度な寝だめが精神的健康にプラスになる可能性。
■エビデンス⑤
https://www.jil.go.jp/activity/project/jills-i/documents/DP25-Ex-02.pdf?utm_source=chatgpt.com
週末の寝だめと健康・ウェルビーイングとの関連 ―中年層労働者パネルデータを用いた検証
https://www.jil.go.jp/activity/project/jills-i/documents/DP25-Ex-02.pdf?utm_source=chatgpt.com
◎概要
・対象は日本の中年の労働者(35~54歳)、
ウェブ調査「JILLS-i」を使い、
4回(1年半ほど)追跡調査。
分析対象は就業者で、
サンプル数:約14,309人、観察データ件数49,600件。
・平日の睡眠時間が短い人が週末に
“寝だめ(週末の睡眠延長)”をすることが、
メンタルヘルス(心理的ストレスなど)
主観的健康感(自分の健康状態をどう感じているか)
生活満足度
に与える影響を検証する。
◎結果
- 平日の睡眠時間が短い人 vs 長い人
平日睡眠時間が6時間未満の人では、
寝だめがあると健康指標・満足度の
改善が見られる傾向。
逆に、
平日睡眠時間が長め(6時間以上)ある程度ある人では、
寝だめの延長があまり効果的でなかったり、
延長が多すぎると逆に満足度が下がることがある。
JIL産業労働情報センター
・最も効果がある寝だめの延長時間
平日睡眠6時間未満の人では、
週末で 1〜2時間 寝だめすることが、
メンタルヘルス・主観的健康感・生活満足度
の改善と有意に関連。
JIL産業労働情報センター
・寝だめが 3時間以上 に達すると、
改善効果が頭打ちになる、
あるいは逆効果の兆しが見える指標もある。
つまり「多ければ多いほど良い」
というわけではない。
JIL産業労働情報センター
・性別の違い
女性の方が寝だめをする傾向がやや強い。
JIL産業労働情報センター
女性では、寝だめがメンタルヘルスや
生活満足度の改善に比較的強く関連することが見られた。
男性では、主観的健康感の向上などが
寝だめで見られるが、
メンタルヘルス改善の関連は女性ほどはっきりしない。
JIL産業労働情報センター
・寝だめで「寝不足の悪影響を完全に相殺できるか」
寝だめである程度の改善は期待できるが、
平日の睡眠不足による悪影響を
完全に打ち消せるわけではない。
たとえば、主観的健康感・生活満足度では、
2時間の延長である程度負の影響を相殺できるケースがあるものの、
それ以上の延長や睡眠不足が深刻なケースでは完全回復とは言えない。
JIL産業労働情報センター
■5つのデータを元にしたまとめ
◎週末寝だめは“補助的手段”
平日不足した睡眠を完全には取り戻せないが、
1〜2時間の寝だめで気分や健康感、
抑うつリスクの改善に一定の効果。
◎効果的な範囲
週末1〜2時間の延長が最適。
多すぎる寝だめは効率が低下・逆効果の可能性。
◎個人差あり
性別、年齢、平日睡眠時間、
健康状態によって効果の大きさが変わる。
◎平日睡眠の改善が基本
寝だめに頼るより、
平日から十分な睡眠を確保することが長期的健康には重要。
◎バイキング睡眠の考え方
睡眠不足になる前に余裕をもって寝ることで、
後の不足を軽減できる。
「明日は寝不足になる」という前日に
長めに寝る的なイメージ。
嬉しい情報と
残念な情報の両方でしたが
良い所取りしていきましょ!
今回のテーマは寝溜めでしたが、
仮眠だって効果的に使える訳ですしね!
最後までお読みいただきありがとうございます!
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