電子レンジの電磁波ってそんなにヤバい?

「電子レンジは電磁波で栄養が壊れる」

「放射線でガンなどの病気リスクが上がる」

そんな声を時々耳にします。
実際に私もお客さんから
「レンジでチンすると栄養素が抜けちゃうんですよね?」
と聞かれることがあります。

実際の所どうなのよ
という疑問にお答えします!!


■電子レンジ調理で栄養素はそこまで壊れない!

まず電子レンジは
「マイクロ波(2.45GHz)」
という電磁波を使って、
水分子を振動させて熱を発生させる仕組みです。
この電磁波自体が有害というわけではなく、
人体や食品の構造を直接破壊するものではありません。
※人体へ害があるというデータは今のところ無い。

よくある誤解は、
「電磁波が栄養素を破壊する」
というものですよね。
でも実際には、
マイクロ波は非電離放射線であり、
DNAや分子構造を壊すような作用はありません。


■むしろ、レンジの方が栄養素が残ることも!

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◎加熱調理による栄養素の変化例

◆ビタミンC
電子レンジ調理で一部壊れるが、
それは電子レンジ以外の調理法でも同様。
茹でるよりマシ!

◆ビタミンB群
水に溶けやすく
加熱でも栄養素が減少。
それでも茹でるよりマシ!

◆食物繊維・ミネラル
どの調理でもほぼ変化なし!

◆タンパク質・脂質・糖質
構造変化はあるが栄養に大きな影響はなし。
どの調理法でも同様。
(熱の入り具合では変わるが、何で熱で入れるかはさほど重要では無い)


◎データで見ると。。。

韓国産の10品の野菜を対象に
茹で・ブランチング・蒸し・電子レンジ
それぞれの調理での栄養保持率を調べたデータがあります。

結果として、
◆ビタミンC
・電子レンジ調理では保持率が最も高く、最大約91%。
・茹でが最も栄養損失が大きい。

◆油溶性ビタミン(α‑トコフェロール=ビタミンE、β‑カロテン、ビタミンK)
・一部の野菜では、
電子レンジ調理後のβ‑カロテン・α‑トコフェロールが
生より増加するケースも。
これは細胞壁破壊により測定可能量が増えた可能性があります
news-medical.net+7pmc.ncbi.nlm.nih.gov+7pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+7

・ビタミンKは野菜によって差があり、
ホウレンソウ・チャードでは
レンジ調理が最も損失が少ない一方、
春菊やマロー(ハーブ)では逆に失われやすい
という結果も観察されました。

Effect of different cooking methods on the content of vitamins and true retention in selected vegetables – PMCThis study evaluated the effect of different cooking methodspmc.ncbi.nlm.nih.gov

著者:Seongeung Lee 他(2017)peykmagazine.com+5pmc.ncbi.nlm.nih.gov+5pubmed.ncbi.nlm.nih.gov+5


■別の研究では?

◎【1. ハーバード大学医学部の見解】

Harvard Medical School の
「Harvard Health Publishing」によると

“Microwave cooking is one of the least likely forms of cooking to damage nutrients.”
(電子レンジ調理は、栄養素を損なう可能性が最も低い調理法のひとつです)

▶️ 出典:Harvard Health – Ask the Doctor


◎【2. 食品科学に関する学術レビュー(J Food Sci, 2009)】

論文タイトル:
Effect of Microwave Cooking Conditions on Nutrient Retention in Vegetables

  • 著者らは、茹で・蒸し・電子レンジ調理の栄養保持率を比較。
  • 結果:電子レンジ調理が最もビタミンCやB群の保持率が高いというデータあり。

▶️ 論文の要点:

  • 茹でると水溶性ビタミンが流出。
  • 電子レンジは水を使わず短時間加熱なので、栄養損失が少ない。

◎【3. FAO(国連食糧農業機関)の資料】

FAOも以下のように述べています:

“Microwaving has been found to be one of the best methods for preserving nutrients, especially vitamin C and other water-soluble vitamins, due to the shorter cooking times and minimal use of water.”

▶️ 出典:FAO公式ガイドライン内資料


■電子レンジと栄養破壊のまとめ

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◎まとめ

  • 電子レンジは、茹でに比べて栄養素が保持される
  • しかし、野菜の種類やビタミンの性質によって差があるため、「レンジが万能」とは言えず、調理法の工夫が重要。
  • 栄養素の失われ方(保持率)の視点から、“どのビタミンを重視するか”に応じて調理法を使い分けるのが理想的です。
  • ※水溶ビタミンは茹でるよりレンジ!

■レンジによる健康被害はないの?

こちらも安心してください。
結論今のところ問題無いでしょう!

◎根拠が無い

単純に科学的根拠が無いです。
また、電子レンジに使われるマイクロ派(2.45㎓)は
非電離放射線です。
非電離放射線は分子やDNAを破壊する力を持っていません!
つまり、ガンや細胞障害等のリスクは無いとされています。

※ちなみにガンリスクがあるのは
電離放射線でX線や放射線です


■安全と言えるデータは?

◉ 世界保健機関(WHO)

“When used according to manufacturers’ instructions, microwave ovens are safe and convenient for heating and cooking a variety of foods.”
(取扱説明書に従って使用する限り、電子レンジは安全です)

▶️ 出典:WHO Microwave Oven Safety

⇩下記の画像をご覧ください
家庭で使用する電化製品の
電磁波強度です。
ほとんどの電化製品は30cm以上離れて使用すると思いますので
電子レンジなんて全く問題ないと言って良いでしょう。
※制限値100μTに対して4~8
※そもそも非電離放射線

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◉ 厚生労働省(日本)

「電子レンジから漏れるマイクロ波は非常に少なく、人体に影響を及ぼすことはない」


◎ただし、注意点もあります!

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・容器選び非耐熱のプラスチック容器はNG!
(溶けやすい)

・ラップの使い方にも注意
(食材に密着しすぎないよう注意(特に高温時))

・加熱ムラが無いかもチェック


■まとめ:電子レンジは「安全かつ栄養的にも優れた調理器具」

  • 栄養素が全く壊れないわけではないけど、他の調理法より壊れにくい場合もある
  • 「電子レンジ=体に悪い」というのは根拠が薄い都市伝説
  • 正しく使えば、時短・栄養・安全の三拍子が揃うありがたい存在!

◎おまけ:不安な人におすすめの対策

  • ✔耐熱容器(ガラス・シリコン)を使う
  • ✔加熱ムラが出ないよう、途中で一度混ぜる
  • ✔電子レンジのドアがしっかり閉まるか定期チェック
  • ✔レンジ専用のラップや容器を選ぶ

「体にいい食事」

「健康的な調理法」
を考えるとき、
電子レンジはむしろ味方かもしれませんね。

最後までお読みいただきありがとうございます!