ベンチプレスやマシンより腕立て伏せ

皆さんこんにちわ!
フィットネス・スポーツトレーナーの菅谷です。

健康維持やダイエット、
競技力・パフォーマンス向上
等を目的としている場合において
「胸の筋肉を鍛えたいな」
と思ったら何をしますか?
ベンチプレスやダンベルプレス、
マシンでのチェスト系トレーニング等
様々な選択肢があり
個人の状態、経験値、筋力、競技
などなどによって選択しますよね。

ここで質問です!
「腕立て伏せやってますか?」

うん、
ほとんどの人がやらないですよね。
わざわざ床に手を付く種目よりも
座って安全に出来るマシントレーニングや
大胸筋をダイレクトかつ
ピンポイントに鍛える事が出来る
ベンチプレスなどを採用しがち。

ですが!
ほとんどの方にとって
腕立て伏せは実施すべき種目なんです!

目次

  1. ■腕立て伏せをやって!
  2. ◎総体的に体を使える
  3. ◎安全がむしろ逆効果に
  4. ◎肩関節の安定性向上
  5. 🧠 解説:なぜ腕立て伏せが肩関節の安定性に効果的なのか?
  6. ◎ご高齢の方
  7. ■筋電図の変化
  8. ◎大胸筋
  9. ◎上腕三頭筋
  10. ◎三角筋前部(肩の前側)

すべて表示


■腕立て伏せをやって!

画像

タイトルや前置きでもう結論を言っていますが、
よほどの明確な理由が無ければ
少しだけでも腕立て伏せをやってほしい!
シンプルな結論です。

※私がゴッツイパワーラック等を使わない出張訪問事業にしてるのも半分はこういった理由です。
何でもかんでも
良いマシン!
最新マシン!
パワーラック!
ウエイトトレーニング!
なんて古臭い考え方やめようぜ!

少し具体的に理由を解説します。

◎総体的に体を使える

大前提として
ベンチプレスやダンベルプレス、
マシンでのトレーニングは
大胸筋をほぼピンポイントに狙ったトレーニングで、
全身満遍なく鍛えられる
というものではありません。
(まぁそれがメリットなんですけど)

ザックリ言うと
ベンチプレスやマシンは
仰臥位(仰向け)や
座位で大胸筋を鍛えるもの。
対して腕立て伏せは
大胸筋を中心にほぼ全身が使われる種目で
横になる事も座る事もなく、
頭部の位置が動き、
視線も(景色)も変わります。

あなたがもし
ボディビル等のコンテストの出場するような方であれば
大胸筋の上部、下部、外側、内側
のように不足している部位を狙い
かつピンポイントに負荷をかける必要があります。
また、次の種目や翌日の為に
他の部位に余計な負荷をかけたくないものです。

しかし、我々一般人は
大胸筋の部位を細かく使い分ける必要もなければ、
大胸筋以外に余分な負荷がかかってはいけない
なんて事もありません。

むしろその逆で、
大胸筋を鍛えながら、
腹筋や背筋、足など
全身に満遍なく負荷がかかった方が良いんです!

だってそりゃそうですよね?
日常動作の基本である、
立つ・座る・歩く・走る
といった動作は
どこかひとつだけの筋肉が
ピンポイントで使われるなんて事はありえません。
当然スポーツにおいても同様です。
走る・飛ぶ・投げる・打つ・蹴るなども
全身が連動してほぼ満遍なく使われますよね。

つまり、
日常動作やスポーツ動作に生かすのであれば
仰向けでのベンチプレスや座位で行うマシンよりも
腕立て伏せの方が効率が良いんです。
特に腹筋へかかる負荷は大きくなります。

◎安全がむしろ逆効果に

画像

マシンでのトレーニングは
基本的にほぼ座って行う事が多いです。
当然これも先ほどと同じ理由で
「ただでさえ座り過ぎの日本人が
トレーニング中もまた座るのかよ!」

と思いますね(笑)

もちろん、
マシンのメリットはなんと言っても安全性です。
しかし、
人間の防衛反応やアドレナリン、
体の反応、成長、減退抑制には
適度な負荷と適度な危機感が必要です。
何の緊張も無く
目線の位置も変わらずに、
頭部が固定されて行うマシントレーニングでは
やはり腕立て伏せには敵いません。

ツッコミ入りそうですので
一応補足すると、
安全性が悪いと言ってる訳でも無ければ
マシンがダメと言ってる訳でもありません。
その個人の状態、状況に合わせて
選択する事が最も重要です。

詳しくは下記をご確認下さい!

基本的にマシンを利用したトレーニングはしません – すがともフィットネスこんにちは!トレーナーの菅谷智紀です。 ▪マシンがあるジムだと安心▪マシンが無いジムだと不安▪筋トレはまずマシsugatomo.blog

◎肩関節の安定性向上

プッシュアップでは
肩甲骨が自然に動くため、
肩関節の可動性と安定性が高まり、
怪我の予防にも寄与します 。

  1. 不安定な環境での腕立て伏せ
    • 不安定なサーフェス(例:バランスボールやサスペンショントレーナー)上での腕立て伏せは、肩関節周囲の筋肉の協調的な収縮(共同収縮)を促進し、関節の安定性を高めることが報告されています。 PMC
  1. プッシュアッププラス(Push-Up Plus)エクササイズ
    • 通常の腕立て伏せに肩甲骨の外転動作を加えた「プッシュアッププラス」は、前鋸筋の活動を特に高め、肩甲骨の安定性をさらに強化する効果があります。 Physiopedia

🧠 解説:なぜ腕立て伏せが肩関節の安定性に効果的なのか?

  • 閉鎖性運動連鎖(CKC)腕立て伏せは、手が固定された状態で行う閉鎖性運動連鎖のエクササイズであり、肩関節周囲の筋肉が協調して動作するため、関節の安定性が向上します。
  • 共同収縮の促進:不安定な環境下での腕立て伏せは、肩関節周囲の筋肉が同時に収縮する「共同収縮」を促進し、関節の安定性を高めます。
  • 前鋸筋の強化:前鋸筋は肩甲骨の安定性に重要な役割を果たしており、腕立て伏せやプッシュアッププラスによってこの筋肉を強化することで、肩関節全体の安定性が向上します。

Shoulder electromyography activity during push-up variations: a scoping review – PMCPush-ups (PU) are a common closed chain exercise used to enhapmc.ncbi.nlm.nih.gov

◎ご高齢の方

腕立て伏せにも色々あり、
膝を床に付けないパターン、
膝を床に付けるパターン、
両手の位置が少し高いパターン、
逆に低いパターン、
手幅が広い、狭い
などなど。

「腕立ては高齢者が出来ない」
なんて事はありません。

膝を床に付いたり、
手幅を広めにしたり、
腕(手)の位置を高くしたりと
いくらでも工夫はできます!

※手首にケガや肘、肩などに
大きな怪我が無い事が前提です。


画像

■筋電図の変化

実際にベンチプレスと腕立て伏せで
大胸筋や上腕三頭筋(二の腕)、
腹筋、背筋にかかる負荷はどの程度なのか。

下記表をご覧ください。

◎大胸筋

ベンチプレス:10 
腕立て伏せ:10
※両者ともに強い負荷がかかる

◎上腕三頭筋

ベンチプレス:8
腕立て伏せ:8
※腕の角度にもよるが、同等。

◎三角筋前部(肩の前側)

ベンチプレス:8
腕立て伏せ:8

◎腹筋(腹直筋)

ベンチプレス:2
腕立て伏せ:5
※倍以上の差

◎脊柱起立筋(背筋)

ベンチプレス:1
腕立て伏せ:4

画像
画像

さすがに大胸筋や三角筋(肩)に
かかる負荷はほぼ同じです。
しかし、腹直筋や脊柱起立筋(背中)に
かかる負荷は2~3倍ほど
腕立て伏せの方が強くなります。

こう考えると
「ただ大胸筋に拘る人」
では無い限り
ベンチプレスよりも腕立て伏せの方が良いですよね?

Bench press and push-up at comparable levels of muscle activity results in similar strength gains – PubMedElectromyography (EMG) exercise evaluation is commonly used tpubmed.ncbi.nlm.nih.gov

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24983847

ベンチプレスと腕立て伏せは、同等の筋肉活動レベルでは同様の筋力増加が得られる。

ホアキン・カラタユド1、 セバスチャン・ボレアーニ フアン・C・コラド フェルナンド・マルティン ビクター・テラ ラース・L・アンダーセン

所属 拡大するPMID: 24983847
DOI: 10.1519/JSC.0000000000000589

Muscle Activity Patterns do not Differ Between Push-Up and Bench Press Exercises – PubMedPopular topics for upper-body resistance training involve thepubmed.ncbi.nlm.nih.gov

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29809073

腕立て伏せとベンチプレスの筋肉活動パターンは変わらない

ジンジャー・S・ゴットシャル1、 ブライス・ヘイスティングス2、 ザカリー・ベッカー1

所属 拡大するPMID: 29809073
DOI: 10.1123/jab.2017-0063


■腕立て伏せのデメリット

ここからはデメリットをご紹介します。

◎筋肥大には非効率

もはやデメリットですらないです(笑)
皆がみんな筋肥大させたい訳じゃ無い(笑)
筋肥大目的の方はベンチプレスやろう!

それでも筋肥大に重要なのは
総負荷量(筋ボリューム)
※重量×回数×セット数
であるというデータもあり、
更にある一定の強度なら
ベンチプレスも腕立て伏せも
両方とも筋肥大は可能というデータが出ています。

Low-load bench press and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain – PubMedPush-up exercise with similar load to 40%1RM bench press is cpubmed.ncbi.nlm.nih.gov

https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2015/01000/bench_press_and_push_up_at_comparable_levels_of.31.aspx

ベンチプレスと腕立て伏せは、同等の筋肉活動レベルでは同様の筋力増加をもたらす

カラタユ、ホアキン。ボレアニ、セバスチャン。フアン・C・コラド。マーティン、フェルナンド。テラ、ビクター。アンデルセン、ラース L.

◎手首に負荷がかかる

ベンチプレスやダンベルプレス
マシンのチェストプレスでは
シャフトやバーを強く握らずに
手の平に乗せるだけ
という方法もあり
手首にかかる負荷を逃がす事が出来ます。

(フリーウエイトのメリットである「角度が自由」というのも大きいですね)

◎大胸筋が収縮しきらない

「腕立て伏せが」
と言うより
「腕立てもベンチも」
ですが
基本的に大胸筋が収縮(縮む)しきる事は難しいです。
※そもそも収縮させきる必要が無いんだけど

もし胸のトレーニングで
最大限筋肉を収縮させたい場合、
側臥位での運動や、
ジムに行っている方なら
フライマシン(開閉する)をおすすめします。


■まとめ

てっとり早く大胸筋を筋肥大させたい
という方ならともかく
基本はベンチプレスよりも
腕立て伏せを採用した方が
総体的にメリットが大きい事が分かっていただけましたでしょうか。

以下箇条書きまとめ。

●一般人やアスリートが大胸筋単一に拘る意味が無い
●安全なマシンがむしろ身体機能を低下させる
●肩関節の安定性を向上
●ベンチプレスも腕立て伏せも効果はさほど変わらない
●腕立て伏せは腹筋群や背中など全身が満遍なく働く
●腕立ては手首に負担がかかる

これを気に
「何でもかんでもベンチプレス」
「何でもかんでもフリーウエイト」
「何でもかんでもマシン」
というプログラムから脱却し
広い視点でフィットネスメニューを考えていきましょう!

※何度も言いますが、
そもそもが筋肥大最優先、
効果とかよりもただ単にベンチプレスが好き
等の目的、理由がある方に向けている訳ではありません。

以上、最後までお読みいただきありがとうございます!
あなたの「スキ」や応援が力になっています(^^)

ジム以上の価値で自宅で!ダイエットや体のメンテナンスまで【出張&オンライン】栃木県の出張パーソナルトレーニングなら”すがともフィットネス”「ジムで知り合いに会いたくない」「効率的にサクッと運動したいsugatomo.blog